夜中になるとたいてい眠れなくなってしまう。残りわずかの学生生活と、やりたいことはあきらめたほうがいいっていう自分で出した結論に鬱屈した思いを抱えていた。こんな夜中に起きてる人いないかなって軽い気持ちで、なんとなくネットをいじっていた。ワクワクメールってサイトで『セフレ募集』
って出ていたんだよね。なんとなくね、別にいいかなっておもったんだよね、暇だったからメール送ってみた。
 次の日メールが来てた。「メールありがとう、龍です、僕も大学生です。理系で某大学で研究してます」って書いてあった。某大学ってのがエリートで、あったこともないのにかっこいいって思ってしまった。何度かメールを交換した。「龍は彼女いるの?」ってきいたら「彼女はいる」って返ってきた。「じゃなんでこんなことやってんの?彼女かわいそうじゃん」って書いて送った。「彼女いるけどたまにHなキブンになることあるんだ」って言ってた。「てか名前なんていうの?って聞かれた」「和希です。男みたいだけど女です」メールしながらこの人まずいなって思ったけど、なんかまあいいやって思ってしまった。うん、正直に言うと魅かれていった。
 都内で待ち合わせた、やばそうな黒塗りの車で来た。でもエリートってのは本当だった。『セフレ募集』
の通り、車の中でもう怪しい雰囲気だったけど、嫌じゃなかった。龍は優しかった。手慣れた感じが悲しかったけど、触られて触って、彼の家でHした。これ本当は初めての体験だった。本当に初めてだった。終わったとき「俺と付き合って」って言われた。
 こうやって『セフレ』
になった。でも龍は彼女の事本気で好きで、忘れるはずがないってわかってた。それでも『セフレ』
でも会えたらいいって、こうやってそばにいてほしいって本気になってしまった。友達にも誰にも言えない関係。
 何度も抱き合ったけど、やっぱり彼女に悪い気がしてきて、辞めた。自分もだんだんつらくなってきた。『セフレ』
って寝るだけの関係、性欲の掃き溜めみたいにかんじたら何やってんだろって思ったんだ。『セフレ募集』
って手っ取り早い関係だよね。でもやっぱ傷ついた。『セフレ』
じゃなくてちゃんと付き合いたかった。
 自分は社会人になった。もう龍とは連絡も取らなくなっていた。でもあるとき、突然メールが来た。「今度会えない?って」彼女いるのに、彼女大事にしないよって冷静に思ってそういって会わなかった。それでいいって思った。
 今どうしているだろうか。きっとこんなこと忘れているはずだ、エリートとして真面目に生きてることだろう。